叔母はすでに前から、彼女が罪をあがなうために受けた苦しみや痛みの数々について、あたくしに話をしていました。あたくしは、修道士の言葉におそれを覚えながら、あたくしの部屋にもどつて参りました...。独りきりになると、あたくしはお祈りを捧げ、神様に夢中になつていられることを望みました。でもあたくしは、自分を待つている苦痛の幻だけしか、眼に浮かべることが出来ませんでした。
叔母が真夜中に、あたくしを探しに来ました。彼女は、あたくしに裸になるよう命じ、頭から足の先まで浄めて、それから首のまわりがきつちりしまり、背後ですつかり割れるようになつた大きな黒い衣をあたくしに着せました。
彼女も同じような衣を着けました。そしてあたくしたちは馬車に乗り、家を出ました。
一時間ばかりの後、あたくしは大きな広間の中にいました。そこには闇がひろがつており、天井から下がつてるただ一つのランプだけがそこを照らしているのでした。
その中央には、クッションをかけた祈祷台が作られていました。
「跪づきなさい。姪よ。お祈りをしてから用意をなさい。そして神さまがあなたのことをお試しなされようとする悪事のすべてを、勇気をふるつて、堪え忍びなさい。」
あたくしがその言葉に従うと殆ど同時に、秘密の扉が開いて、あたくしたちと同じような衣をまとつた修道士があたくしに近づき、何かの言葉を口の中でつぶやきました。それからあたくしの衣を開かせ、両側の襞を落とさせ、あたくしのからだの背後の部分をすつかり剥き出しにしてしまいました。
あたくしの肌を見たので、もちろん修道士の上に軽い戦慄が陶然と駆去りました。彼の手はあたくしのからだのいたるところをさまよい、あたくしのお臀のところでゆつくり休み、そしてとうとう、もつと下の方の所へきてから止まりました。
「女が罪を犯すのはここなのだ。女が苦しみを受けねばならぬのはここなのだ。」
墓の底から響いてくるような声が語りました。
「この言葉がのべられたと思つたとき、あたくしは、鉄の尖つたものを先につけた紐の結び目で、打たれているのを感じました。あたくしは祈祷台にしがみつきました。あたくしは叫び声を圧し殺そうと努めました。だが駄目でした。あたくしは部屋の中へ跳び出し、こう叫んだのです。
「おたすけ下さい!おたすけ下さい!あたくし、こんな苦しみを我慢することは出来ません。お情けです!お願いです...。」
「可哀相な臆病者ね!」
と、叔母は腹をたてて叫びました。
「あなたは、あたくしを見習えばよいのです!」
こういうと、彼女は勇敢にすつかり裸になつてしまい、両股[両腿]を開き、それを高く上げていました。
洗礼の突き入れ[打擲]は、雨霰のようにつづきました。体刑執行者はびくともしませんでした。一瞬のうちに、股[尻]は血まみれになつてしまいました。叔母は身動きもせずに、時々、叫んでいました。
「もつと強く...ああ!もつともつと強く...。」
この光景は、あたくしを無我夢中にさせました。あたくしは超自然の勇気を感じ、自分では何でも我慢する用意をしていると叫びました。
叔母は再び立ち上がりました。そしてあたくしに熱烈な接吻を浴びせかけました。その間に修道士はあたくしの手を結びあたくしの眼の上に一本の細いバンド[目隠し]をつけてしまいました。
何といつたらいいのかしら、その後のこと!あたくしの苦痛は再び始まりました。もつと恐ろしいほどの。やがて苦しみにまひして、あたくしは身動きもせず、それ以上何も感じられなくなりました。ただ、あたくしをたたく打撃の音の向うに、あたくしは、叫び声や、割れるような音や、肉の上をたたく手の音などが混じり合つているのを聞いているのでした。それは無意味な笑い声であり、神経質な笑い声であり、衝動的な笑い声であり、官能の喜びの前触れとなる笑い声でした。時々、肉欲にあえいでいる叔母の声が、この奇妙な調和を、この乱痴気さわぎの合奏を、この血の無礼講を支配していました。
もつと後になつて、あたくしは、あたくしの苦痛を眺めていると春情が目ざめてくるし、あたくしの圧し殺した溜息の一つ一つは肉欲の昂奮を唆り立てるのに役に立つていたのだということを悟りました。
もちろん疲れてくると、あたくしの体刑執行人はやめてしまいました。
絶えずじつとしていたあたくしは、死にそうな恐怖の中に陥つていました。しかしそれでも、あたくしの官能が常態に戻つてくると共に、あたくしは奇妙なむずむずする感じを覚えました。あたくしのからだはふるえ始め、火のように燃え立ちました。
あたくしは、満足しきれぬ欲望を満足させたいためのように、淫らな様子でからだを動かしました。突然、二本の神経質な腕があたくしを抱きしめました。何が何だかわからない熱いひきしまつたものが、あたくしのももを打ちもつと低いところにすばやく滑りこみました。そのとき、あたくしはからだが真二つに裂けてしまつたかと思いました。
ミュッセ『ガミアニ』、吉野春樹訳(紫書房、1951年)、pp.27-31.
翻訳艶書二題のところで書いたように、この訳はおおいに正確性に問題があるのだが、当時の訳文を示すという目的から手を加えずにそのまま引用している。ただし、全体的な話の理解に差し障る恐れるのある誤りについては [ ] で順当な訳語を補ってある。
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