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2003年2月9日
「神秘な平衡作用」

今着々とある方向へ向かっていく世の中の情勢をニュースで知る度に、『O嬢の物語り』のJ.ポーランの序文「奴隷状態における幸福」次の言葉が頻繁に頭をよぎる :

今ややわれわれの加える拷問は、匿名で根拠のないものだけである。しかもそれは千倍も残虐になっている。戦争で一挙に焼きつくされるのは一つの町の住民全体なのである。父親や教師や恋人の過度の優しさが、絨毯爆撃やナパーム弾や原子爆弾によって償われている。あたかもこの世には、暴力についての一種の神秘な平衡作用があって、われわれは嗜好を失い、その意味さえ忘れしまった暴力の埋め合わせをしているかのようだ。

が、「一種の神秘な平衡作用」という語が現状追認のためのものであってはあるまい。現状追認を決してしなかったポーランの言葉であれば余計に。


For the original text © Société Nouvelle des Editions Jean-Jeaques Pauvert, 1954-1972
For this translation © Autel & R***
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